新図書館の建設について(住民投票後の経緯と魅力あるまちづくり)

 

住民投票後、「市長が反対の市民の声を無視して新図書館建設を強引に進めている」という一部の政党などの批判ビラが流布されていますが、それは事実ではありません。
私は、住民投票の結果を受け止め、一度白紙とした上で、市民の声を聞きながら、丁寧なプロセスで議論を進めてきたものであり、市議会もその事実を理解しているからこそ、再度設計予算を可決し、一旦白紙となった計画が再スタートができているのです。
なお、指定管理者制度の導入(いわゆるツタヤ図書館の計画)は行わないことになりました。市民参加の審議会からの答申を尊重した結果、以前の計画から大きな変更があります。ただし、建設場所については小牧駅西A街区がふさわしいとされました。これらは市民代表による審議会からの答申を尊重した結果です。

→小牧市の新図書館建設計画(新図書館建設推進室のページ)

■ 新図書館の建設に至る経緯について(住民投票後)

平成27年10月に行われた、当時の新図書館建設計画(いわゆるツタヤ図書館の計画)への賛否を問うた住民投票の結果は、賛成43%、反対57%でした。

住民投票後、結果を受け止め、当時の建設計画は白紙へ

住民投票後、私は市長として結果を受け止め、当時の新図書館建設計画を白紙とし、市民の意見を聞くため、市議会からも提案のあった「新小牧市立図書館建設審議会」を立ち上げ、「建てる建てないというところからゼロベースで議論してほしい」と要請しました。

実は当初私は、私は議論をゼロベースとした上で、反対の中にも「ツタヤに反対」「場所に反対」「費用が過大である」など様々な声があったため、まずは広く市民アンケートを行いたいと申し上げたのですが、市議会と協議を行った結果、市議会からは「市民による審議会を立ち上げて議論していくこと」「アンケートの実施も審議会に委ねること」との強い要請があったため、そのような形で議論を再スタートすることに決定したものです。

住民投票で問われたのは「現計画に対しての賛否」であり、市長として結果を受け止める判断をし、当時の計画は破棄して「白紙」としましたが、それは現図書館の老朽化問題や中心市街地の活性化問題などをそのまま放置して良いという意味ではありません。そのため、議論を中立の立場から再スタートさせる必要がありました。

市民代表による審議会でゼロベースからの議論を再スタート

先に申し上げた通り、住民投票後、私は市長として結果を受け止め、当時の新図書館建設計画を白紙とし、市民の意見を聞くため、市議会からも提案のあった「新小牧市立図書館建設審議会」を立ち上げ、「建てる建てないというところからゼロベースで議論してほしい」と要請しました。

審議会メンバーは、21人で、図書館や建築の専門家(学識経験者)、市内各界各層の団体の代表、公募市民6人の他、住民投票を主導された「小牧の図書館を考える会」の代表の方にもご参画いただきました。

審議会は、17回開催され、非常に丁寧かつ熱心な議論

新小牧市立図書館建設審議会は、市民の代表による多様な意見が出され、非常に丁寧かつ熱心な議論が行われました。1回あたり約2時間の審議でしたが、1年間で当初の予定を超える17回開催されました。通常の審議会は年に数回程度なので、この審議会は極めて異例でしたが、本当に丁寧な進め方で熱心に議論がなされたものです。

市長としては、審議会がスタートしてから答申に至るまでの約1年間、審議会の議論に影響を与えることを避けるため、審議会で意見を申し上げることはもちろん、市議会や公の場で図書館建設について触れることさえ避けてきました。審議会では、それぞれの立場で自由なご意見を述べていただき、議論をいただきました。

審議会では、A街区へ建設した場合とラピオ内へ整備した場合の費用比較や、A街区に整備した場合にはラピオ内の市が所有する床に空床が発生することも市側から情報提供を行っており、それらを踏まえて検討がなされたものです。

審議会では「A街区の新設が望ましい」との意見が4分の3を超える多数

その結果、以前の計画では「指定管理者制度」を活用して民間企業と連携した図書館計画であったものが「市の直営が望ましいとの意見が多数であった」とされ、また、建設場所については、求められるこれからのあるべき図書館はラピオ内での整備では実現できないなどの意見が出され、「A街区への新設が多数意見であった」旨、答申されました。

平成29年2月:審議会からの答申
運営方式 ⇨「市の直営が望ましい」とする意見が多数
建設場所 ⇨「小牧駅西A街区が望ましい」とする意見が多数

平成29年5月:市は、審議会の答申を踏まえて、新図書館の建設位置を「A街区」と改めて決定

平成29年6月:市議会がA街区への新図書館建設の「基本設計予算」を議決

平成30年3月:市議会がA街区への新図書館建設の「実施設計予算」を議決

現在、実施設計を行っており、平成31年春より着工し、平成33年春のオープン予定です。

 

今からの図書館はこれまでのイメージとは全く異なる場所

これまで議論をしてきてわかったことは、多くの市民が従来の図書館のイメージのままに囚われてしまっているということです。今、日本の様々な大学で、あるいはいくつかのまちで、図書館の有り様が大きく変わってきています。そして、まちづくりの中で図書館の存在が見直され、図書館を核としたまちづくりによって、まちが生まれ変わるということが起こっています。

これまでの図書館のイメージは、「本を借りるところ」「調査・研究のため調べ物をするところ」「私語はダメ」「飲食もダメ」「暗い」「一部の必要がある人が行くところ」というようなものではないでしょうか。
しかし、今や図書館の有り様、求められるところは様変わりしているのです。

先日もある大学教授とお話をしていましたが、今や大学の図書館も大きく変わってきており、「静かに勉強するところ」というイメージはもはや昔のものであり、グループでディスカッションを行ったり、飲食もできるのが当たり前になっているとのこと。その教授曰く、「仕事の仕方も、研究のあり方も大きく変わってきている。図書館も変わらざるを得ない」「これからの図書館は、そこに行けば、出会いがあり、発見があり、刺激がある。人が集い、話し会い、人のネットワークができ、何かが生まれる面白い場所になる」「人が行きたい場所、集まる場所。そこに居てふと横を見ると本がある。あ、ここは図書館なんだと、それくらい変わってきている」と。

小牧市がつくろうとしている図書館もまさに時代が求めるこれからの図書館。これまで図書館に縁がなかった人も足を運ぶことになる場所。誰もがお気に入りに居場所を見つけられる、居心地の良い滞在空間。もちろん、静かに読書や勉強ができる「学習室(サイレント・ルーム)」も十分に確保する予定です。

設計ワークショップなどで多くの要望があった「カフェ」を1階に入れることも決まっています。多様なイベントが開催できる空間も備え、みんなの交流が生まれる、魅力ある場所となります。完成の暁には、必ずや多くの人が集い、必ずや小牧市のまちの新しい顔になるものと確信しています。

中学生や高校生からは「早く新しい図書館がほしい」との声

中学生や高校生からは、早く図書館をつくってほしいと多くの声を聞いています。
ちなみに、アンケートでは、今まちにほしいものNo.1は「おしゃれなカフェ」ですが、新図書館には「おしゃれなカフェ」も入ることになる予定です。

ちなみに、高齢者の方からは反対の声を聞くことがよくあります。自分たちには不要だからと。
しかし、「自分たちに要らないから、まちに不要だ、無駄だ」というのは暴論です。
保育園も、学校も、児童館も、病院も、福祉施設も、巡回バスも、様々な福祉施策も、全てそれぞれ必要な人がいて、その人たちの役に立っています。よく行政の無駄遣い議論がありますが、市民それぞれの立場によって、何が無駄かは違うのです。市の施策は全体として、すべての市民のために機能しています。
私は、以前、若年層の人から、「老人福祉センターは無駄。何で高齢者だけタダでお風呂に入る施設が必要なの?」と言われたこともあります。

私は、高齢化時代に、高齢者が健康で安心して生きがいを持って暮らせる地域づくりを最重要課題として、健康づくり支援や高齢者福祉、支え合いの地域づくりなどに全力で取り組んでいますが、その中で、「老人福祉センター」についても、「第一老人福祉センター」の建て替えを計画し、去る10月1日にオープンさせました。第一老人福祉センターの建設費は10億円超えです。
そして、今「第三老人福祉センター」の計画も決定しており、平成34年度の完成に向けて進めています。第一と第三の老人福祉センター合わせて20億円を超える事業で、このことについて私は若い人たちから反対の声を聞いたことはありません。一方で、新図書館と(仮称)こども未来館については、高齢者の方から結構な数の反対の声を聞くことがあることは残念に感じます。((仮称)こども未来館の整備費も老人福祉センターとおよそ同額です)

市長として、有権者の声を聞くことはむろん大切ですが、投票権を持たないこども達のことも考えて判断することは、市長も市民もともに「大人としての責任」だと思います。
教育に力を注ぐこと、このことは高齢者が安心して暮らせるまちづくりと並んで、小牧市の最重要テーマです。

そして、もう一つ、小牧市においてもこれからの人口減少対策も最重要課題となっています。

魅力のあるまちでなければ、子や孫が住み続けたい小牧市にはなりません。若い人たちが住みたいまちをつくらなければ、まちはどんどん衰退してしまします。それは高齢者の皆さんも含めて、住みにくいまちになっていくことを意味しており、市民の誰もが決して他人事ではありません。

市の健全財政は現在のところ問題ありません。新図書館と(仮称)こども未来館の予算確保も予定できています。しっかりと計画的な財政運営を行っており、私の就任以来、小牧市の財政健全性はより一層向上しています。(市債残高はこの8年間で100億円以上削減しました)
その上で、あえて申し上げれば、健全財政を保つだけでは市民の幸せはつくれません。今、小牧市は20代〜40代の人口動態が若干ではありますが転出超過の傾向が続いています。これは大きな課題です。
市長の責務は「まちの課題を解決すること」です!
健全財政を維持しながらも、「多くの人が住みたい、住み続けたいと思う、誇りと魅力あるまちをつくること」こそが、市長としての究極的な責務だと私は考えます。

新しい図書館は、必ずや多くの人が訪れる場所になります!

これからの小牧市の「市民の愛着と誇り、魅力と活力のあるまちづくり」に向けて大きな一歩となるものと確信しています。
出来てみれば「山下が正しかった」と言われると確信していますので、ぜひとも私の全責任において進めさせて頂きたいと思っています。皆様のご信頼を切にお願い申し上げます。

(仮称)こども未来館の事業の経緯や必要性について、もう少し詳しい話は、また別の機会に書きたいと思います。

 

■ 新図書館の概算工事費43.4億円の予算について(設計費等は除く)
図書館建設基金 :約20億円          ⇨過去の市民の税金
市債の借り入れ :約9〜10億円(想定)    ⇨未来の市民の税金
国からの交付金 :10億5千万円(予定)
⇨残りを「一般財源」で用意:約4億円         ⇨現在の市民の税金
(4億円→市民一人あたり約2,600円で数十年使う図書館を整備)

 

(参考)平成30年度の小牧市の一般会計予算 575億円 (市民一人あたり37万5千円)
内訳:民生費215億円(37.5%)、衛生費87億円(15.1%)、土木費82億円(14.2%)、
教育費74億円(12.8%)、総務費56億円(9.8%)など
事業例:病院建設へ繰出44億円、第一老人福祉センター改築10億円など

(参考)平成29年度の小牧市の一般会計・特別会計の決算状況(平成30年9月議会提出)
実質収支額 : 34億円の黒字

(参考)平成22年度の小牧市の基金と市債との比較(一般会計+特別会計)
基金残高: 22年度「279億円」→ 29年度末「305億円」  <積み増し>
市債残高: 22年度「317億円」→ 29年度末「213億円」  <大幅削減>

※予算・収支・残高とも億未満いずれも四捨五入。基金残高は庁舎建設基金を除く。
山下しずおは、平成23年2月に市長に就任したため、就任前と現在を比較。